名古屋地方裁判所 昭和43年(わ)2243号 判決 1969年9月04日
本籍
愛知県津島市藤浪町一丁目三九番地
住居
同県同市同町二丁目六〇番地
鉄工業
朋一こと伊藤明一
大正一三年二月二六日生
右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官塩沢剛出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役四月および罰金二〇〇万円に処する。
右罰金を完納することができないときは、金五、〇〇〇円を一日に換算した期間労役場に留置する。
この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罰となるべき事実)
被告人は、愛知県津島市藤浪町二丁目六〇番地において、染色整理機械の製造販売などを業とする「伊藤朋鉄工所」を経営するかたわら、手形割引を業としていたものであるが、所得の一部を秘匿して、所得税を免れようと企て、昭和四〇年分の実際の総所得金額は、すくなくとも、一、二六四万三、三三八円であり、これに対する所得税額は、五三四万〇、九〇〇円であるのに、事業所得である手形割引による利益を除外し、架空名義の預金を設定するなどの不正な方法により所得の一部を秘匿したうえ、昭和四一年三月一五日所轄津島税務署において、同署長に対し一三二万九、八〇八円の損失を生じた旨の虚偽の所得税の損失申告書を提出し、もって右不正な方法により正規所得税額五三四万〇、九〇〇円をほ脱したものである。
(証拠の標目)
一、被告人の当公判廷における供述
一、被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書(一八通)
一、被告人作成の上申書(六通)
一、被告人の検察官に対する供述調書(四通)
一、大蔵事務官作成の証明書
一、収税官吏作成の調査報告書(三通)
一、右同作成の脱税額計算書
一、右同作成の脱税額計算書説明資料
一、右同作成の有価証券現在高確認書(六通)
一、右同作成の現金・有価証券等現在高確認書(一二通)
一、宮島光雄の大蔵事務官に対する質問てん末書(五通)
一、宮島光雄作成の上申書(二通)
一、宮島光雄の検察官に対する供述調書(四通)
一、梅田弘之の大蔵事務官に対する質問てん末書
一、畑中一己の大蔵事務官に対する質問てん末書
一、畑中一己作成の上申書
一、東京国税局査察部長作成の嘱託調書回報書
一、谷山四郎作成の上申書
一、坂下久雄作成の上申書
一、高見禎一作成の上申書(二通)
一、伊藤ふみ子の大蔵事務官に対する質問てん末書
一、南川敏雄作成の上申書
一、佐藤道子作成の上申書
一、佐藤好美作成の証明書
一、水野二郎作成の上申書
一、菱田政弘作成の上申書
一、菱田政弘作成の証明書(二通)
一、八尾昭男作成の証明書
一、滝崎快夫作成の証明書
一、黒田亮子の大蔵事務官に対する質問てん末書
一、山方郁夫の大蔵事務官に対する質問てん末書(二通)
一、山方郁夫作成の上申書
一、吉田鋭彰作成の上申書
一、石橋英三の大蔵事務官に対する質問てん末書
一、石橋英三作成の上申書(五通)
一、山田明作成の上申書(二通)
一、山田明の検察官に対する供述調書
一、伊藤一慶の大蔵事務官に対する質問てん末書
一、伊藤敏一の大蔵事務官に対する質問てん末書
一、伊藤敏一作成の上申書(二通)
一、堀田多津子の大蔵事務官に対する質問てん末書
一、伊藤谷男の大蔵事務官に対する質問てん末書
一、山田なをの大蔵事務官に対する質問てん末書
一、森脇悟の大蔵事務官に対する質問てん末書
一、堀田多津子作成の上申書
一、堀田延子作成の上申書
一、宇佐美寿夫作成の上申書
一、堀田新造作成の上申書
一、堀木東一作成の上申書
一、山内照美の大蔵事務官に対する質問てん末書
一、西野陽吉の大蔵事務官に対する質問てん末書(二通)
一、堤廸子作成の上申書
一、領置してある元帳二冊(昭和四四年押第一一三号の一、二)
一、領置してある貸出先B預金と題するメモ(昭和四四年押第一一三号の三)
一、領置してある普通預金メモ帳二枚(昭和四四年押第一一三号の四)
一、領置してある金銭出納帳(昭和四四年押第一一三号の五)
(法令の適用)
被告人の判示所為は、所得税法二三八条一項に該当するので、同項により懲役刑とを併科することとし、その所定刑期および金額の範囲内において、被告人を懲役四月および罰金二〇〇万円に処し、右の罰金を完納することができないときは、刑法一八条により金五、〇〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとし、情状により刑法二五条一項を適用して、この裁判の確定した日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 鷲田勇)